WineBox #5 「room 301」
​インタビュー: ヤオタケシ(フォトグラファー) 

 

バンドシーンやフェス文化が盛り上がりを見せ、

SNSが生活の一部に欠かせなくなった昨今、

「ライブカメラマン」がひとつの肩書として注目を集めるようになった。

 

ライブカメラマンとしてキャリアをスタートさせたヤオタケシも、

RADWIMPSや星野源、04Limited Sazabysなど名だたるバンド/アーティストのライブで瞬間を切り取ってきているが、

その活躍はライブ写真のみにとどまらない。

『ライブも好きなんですが、ライブじゃない写真も同じくらい好きで、

ライブにこだわって撮り続けている人もいますが、

僕はアーティスト写真やファッションの写真など、画を作っていく写真も好きなので、

どっちもちゃんとやれるようになりたいと思っています。』

 

"ちゃんとやれるようになりたい"という一言に、

ヤオタケシのプロ意識の高さ、依頼された案件に対して、自身の感性を投影させながら、その案件の目的を自身の中で噛み砕いて

最大限にいいものを作ろうという姿勢が伝わる。

だからこそ注目してほしいのが「ほぼ初めて作った」と言う、今回のプレイリストだ。

 
「room 301」という名のプレイリスト
 
 
 

家呑みが好きというヤオさん。

仲間と集まるいつものお部屋。

その部屋番号が301だそう。

 

「ワインをテーマにして、考えました。

夜っぽいイメージで。

友達の家でダラダラと吞んでいるときの一夜のテンションと、部屋の中のBGMとして考えていきました。」


 

まずはワインのロマンチックなイメージにあわせてドビュッシーで始まり、

途中OGRE YOU ASSHOLEあたりではいい感じに酔ってくるだろうという、

一夜の中でアルコールが体に浸透していく時間軸も計算しているところに行き届いた配慮を感じる。

また曲の終わりから次曲への流れを意識し、何度も曲を並べ替えてコンパイルした21曲だという。


 

「普段から音楽を聴いていることが多いですね。

家でもBluetoothスピーカーを持ち運びながら音楽を鳴らしています。

4月や5月のstay home期間中は時間があったので、色々な音楽を聴いてました。

本を読むときはインストを聴くことが多いんですが、クラシックのほうがより集中できるという発見があって。

今回1曲目に持ってきたドビュッシーは、読書のときに聴いていた名残りです。

クラシックの中でもエモくて、ロマンチックだと思います。」

 

ライブカメラマンとして写真の世界に入ったヤオさん。

もともとフォトグラファーを目指していたわけではなく、

学生時代はバンドを組んで音楽活動をしていた。

ここからはフォトグラファーとしてのヤオタケシに迫っていく。

​©Takeshi Yao

 

自己表現という意味での写真
 

「大学生の頃はバンドをしていた時期があり、対バンで知り合った友達を撮ることがはじまりでした。音楽はもちろん好きでしたが表現活動そのものに興味があったので写真もそのひとつとして好きでした。」

 

音楽で表現するより、写真で表現するほうを選んだのはなぜだったのでしょう?

 

「単純にやっていたバンドのメンバ―の脱退なんかで活動が滞ったりしてて、

でもライブハウスに行くのが好きだったので行く口実として写真を撮り始めたというか。

やっているうちに自分の性分に合っているな~と思いました。

バンドはみんなでやるものじゃないですか。

例えば、ギターがギターソロを作ってきても、自分のイメージ通りのものではなかったりということもよくあって、

それがバンドの良いところでもあるんですが、写真は最後まで自分自身の感性で完結できるので

そっちのほうが自分には合っていると思ったんですよね。」

​©Takeshi Yao

 

自分のフィルターで撮るカメラの世界

ライブハウスで写真を撮り始めたヤオさん。
写真を撮るきっかけとなったのは?

 

「カメラマンの JONくん*と出会ったことが写真を撮るきっかけになりました。
僕は普通の音楽好きの大学生だったのですが
そのときにジョンくんと出会って「ライブを撮る」という行為を知りました。」

 

*瀧本”JON...”行秀 - 10-FEET主催のフェス「京都大作戦」のオフィシャルカメラマンやWANIMAの専属ライブカメラマン)


特に学校に通ったりせず、現場から学んでいった形ですね。

 

「ライブ撮影のカメラマンは独学の人が多いと思います。
僕も仕事になっていくとは予期せずに、ライブハウスで撮影しているうちに
いつの間にか仕事になっていったのですが、本来ならカメラの専門学校に行って、
スタジオで2年とか働いたあとに弟子について独立、というルートが一般的なんですよね。
だから僕は他の人が当たり前に持っている技術を持っていないというコンプレックスも20代の頃にはありました。
最近はあまり思わなくなりましたけどね。
そういったコンプレックスよりも「自分がどう撮りたいか」が大事と思うようになりました。
自分のフィルターを磨いて自分にしか撮れない写真を撮れたらいいなと思っています。

一番最初に所有したカメラは?

「中古のNikonのデジタルの一眼レフの4万~5万円くらいのものだったと思います。
今なら多分1万も値段つかないと思います。

 

その頃に撮影していたのはどんなバンドだったのでしょう?

 

「最初はmudy on the 昨晩、その流れでcinema staff、あとはハードコア系のバンドなんかを撮影しました。
(CLUB ZIONやHUCK FINNのイベントや、ダイアモンドホールで開催の大きなイベントなどに顔を出して)
外国のハードコアバンドって、アポなしでもその場でお願いすれば撮影させてくれたりするんですよ。
転換中に声かけて撮影させてもらって勝手に送り付けたりしていました。

 

そんなやり方があるんですね!

 

「はい、意外と。最前で待って、声かけて、撮影許可をもらったり。
友達のバンドを撮りに行った流れで対バンのバンドも撮らせてもらったりとかもしてました。

そこから少しずつ仕事として撮影していくことになったわけですね。

「友達として撮影していたバンドが成長していくとともに、正式に依頼されることが増えていきました。
04Limited Sazabysは早いうちから仲良くて。
ワンマンの規模があがっていって、そのワンマンのライブカメラマンを仕事として正式に依頼されるようになっていきました。
ちなみに、色んなフェスの初めてはmudy on the 昨晩でしたね。
最初の頃はお金をもらうなんて自分の写真にお金が発生するなんて想像もしていなくて。

​©Takeshi Yao

 

何を見せたいかの感覚

写真の醍醐味はその一瞬を捉えることだと思うのですが、
ライブのときはどんなところに注目していることが多いですか?

 

「会場の空気感です。写真に直接写ることはありませんが、感じることで写真が変わると思っています。

 


アパレルブランドの撮影などもされていらっしゃいますが、そのときも同じく現場の空気感を意識していますか?

 

「ちょっと違うかもしれないですね。
ライブでは、1枚でその日のライブがどうだったのかを表現できるような、
“アーティストと音とお客さんの空気”をはらんだ写真を撮ることを心がけていますが、
アパレルに関しては、服のコンセプトや自分がそのブランドに持っているイメージを写真に残せたらと思ってます。

今後何か目指していることはありますか?

「写真に対して新しい表現の仕方はいつも探しているので、そのスタンスをなるべく続けていたいですね。
自分で自分の撮るものに飽きてきてしまうので・・・
ライブ写真でも、やっぱり自分の好きな切り取り方があるのでパターンが決まってきてしまうんですよね。
例えば多重露光とかブラしてみたりとか自分の中のブームがあるんですが、自分で自分の写真に飽きないようにしています。
知れば知るほど、“こんなやり方があるんだ”と、写真は奥が深いものなんだと改めて知らされています。

「いい写真」の撮り方とは?

「自分が何を見せたいのか自分と相談します。
撮りたくて撮るんだけど、何で撮りたいと思ったのか、例えばiPhoneでもsonyでもフィルムカメラでも
機械が違うだけで、その背後にある感覚が一番大事だと思います。

プライベートでもカメラを持ち歩いていますか?

「大体カメラは持ち歩いています。
iPhoneでも撮りますね。
iPhoneだから駄目というのは全然なくて。
縦横比で撮影するので普通のカメラの画角が通常より細長いんですいね。
それが今っぽい。
今の最新技術で撮るのはそういう撮り方なので、表現として成立していると思っています。」

 

人それぞれが装備している感覚というフィルター。

普段の写真の撮り方や見方が変わりそうなインタビューでした。

ヤオタケシさん、ありがとうございました!

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