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WineBox #2 「明日になれば」
インタビュー: 村上友哉(明日、照らす)
この表現がアーティストにとって失礼にならないといいのだが、自分で情報を取りに行かないと出会えない音楽ってある。
インディーズバンドという性質ゆえ、多額の宣伝費をかけられるわけもなく、
マスに届けるには無理がある。
だけど、地元のラジオでかかっている。そんな音楽。
まだ結成から間もなかった当時の明日、照らすとはそうやって出会うことができたのだけど、それは本当に幸運なことだった。
大人になっても、心の隅に残ってる青春の残り香、諦めるしかなかった夢、つきつけられた現実。そんな要素を詰め込んで、心臓のはじっこに火をつけて焦がす。酸味、苦味。たまに甘味。そんな音楽。

明日、照らす・村上友哉さんにお願いしたプレイリストのテーマは「混沌とした時代を、音で照らそう」。
そんなテーマに、村上さんが【明日になれば】というタイトルをつけてくれた。
そのプレイリストに添えられたコメントには、彼の人間性が非常によく表れている。
「混沌とした時代を音で照らそう」
こんなプレイリストのオーダーを貰い、
最初は夢とか希望とか
そんな言葉が出てくるような
そんなイメージの曲を主体で考えていたけれど、
途中から辞めて新しく作り直しました。
僕が思う音楽の素晴らしさとは
日常の中に散りばめられた
思い出や出来事を切り取って、
歌詞とメロディが一つのきっかけになり、
言葉や国境を越えて誰かと分かち合える
ツールというか手段であって、
それ以上でもそれ以下でもない。
このプレイリストに出てくる曲たちは
誰しもが過去に経験したであろう
忘れられない失恋や
ほろ苦い恋や
夏の日の切ない記憶や
スーパーでのいらだちにそっと寄り添ってくれる。
振り返ればそれは
実は全てが僕たちの今日を輝かせる思い出と出来事だった。
また僕たちが新しい思い出と出来事と出会う為には未来がないと、明日が来ないといけません。
諦めるのはまだ早いです。
明日になれば何か変わるかもしれない。
この混沌とした時代をみんなで音楽と共に越えていきましょう。
その為に音楽はある。
このような形でプレイリストを作ったことがないという村上さん。
今回やってみての感想を伺ってみた。
「高校生の頃はよくミックステープを作って、友達と交換してました。
昔、ライブに来てくれた人に特典で作ったことはありましたけど、テーマをもって作るのは初めてでしたね。
今回はワインのセレクト用にとのことであえて外しましたけど、普段聴くのはパンク、ハードコアがメインで、打ち込み、フォークソング等、割となんでも聴きます。
自分の好みだけだと偏ってきて、でも出来る限り幅広く聴きたいから、例えば自分が好きなアーティストが好きだって挙げるアーティストがいたら、必ず聴くし、そういう感じで偏りすぎないように好きなものから好きなものを連鎖させて広げてる感じですね。
今だとApple Musicとかで好きなアーティストが作ったプレイリストを聴くと、"このバンドのこの要素とこのアーティストのこの要素を加えて、あの曲になったんだ!"という発見もあって楽しいです。」
今回のプレイリストを作成するにあたって、いちばん最初に入れよう!と決めていた曲は何だったのだろうか。
「エイフェックス・ツインズの『Avril 14th』。ソフィア・コッポラの映画『Marie Antoinette』のサントラで聴いて、ずっと好きな曲だったから、「この曲を入れるには?」って感じで考えました。
このサントラ(『Marie Antoinette』)は二枚組で、DISC2に関しては本当に完璧なプレイリストで、結果は全然違うけど最初はこのイメージでしたね。こういうイメージの中に自分の曲(明日、照らす)を入れるのが一番難しかった(笑)」
混沌とした世の中ではあるが、明日、照らす・村上友哉が今後やってみたいことを聞いてみた。
1. ハードコアバンドでギターを弾く。(一切歌わないパートで)
2. 打ち込みでインストを作る
3. 好きなバンド、映画Tシャツのセレクトショップをやる
リリース情報
タイトル: Permanent Collection
発売日:2020.4.22
形態:CD Quatrefoil Records / QTFL-0009 2,750yen(with tax)
※インディーズ取扱店、ライブ会場、Quatrefoil Records、
各ECサイト(amazon等)、OTOTOYで販売

明日、照らすの7年ぶりのアルバム『Permanent Collection』がリリースされました。
今までで一番曲数が多いですね。7年間の間に書き溜められていった曲たち?前作『あなた』で「やり切った感があった」とおっしゃってましたが、そこからまた「作ろう」「出そう」と思えたのは?
「そうですね、7年間の曲が溜まってきていたので一回パッケージしたって感じです。
前作『あなた』では自分が考えられる3ピースの音楽はやりきったと思っていて、そこから次は何をしたいのかが見えない時期が続きました。
スタンス的にアルバム出す為にやりたいことを作りたくはなかったので、やりたいことが見つかるまで、ひたすら曲を作って、色んな曲を聴いていました。
そんな中で「僕もこういうこと歌いたいな」だったり、「こういうことやりたいな」というのが少しずつ見つかってきて、最後に今回のアルバムにたどり着いた印象です。」
明日、照らすにとって、作品をつくるというのは、
「人とつながるきっかけをつくる」という意味もあるのかなと少し思いました。
「素晴らしい視点!(笑)
その通りですね。
割と普段話したがりだし、不満が多い人間で、嫌なことがあるとすぐ"聞いて、聞いて!"ってなっちゃうんですけど、そんなの逆の立場ならだるくて聞いてられないじゃないですか(笑)
でも音楽にすることで好んで聴いてもらえるんですよね。
もちろんベースは自分が吐き出したいから作ってるけど、今はどこかで「"みんな、こんなこと言ったらどう思うのかな"って、そんなイメージを持ちながら曲は作ってますね。」
明日、照らすは大学生のときに結成されたバンドですよね。
そこから時を経て、表現的に、また心情的にも歌う内容に変化は出てきましたか?
「自分の目線ではあるし、 自分のことを歌ってはいるけど、
割と今は誰かが聴いた時に ”これ、俺のこと(わたしのこと)を歌ってる曲だ!” って思ってもらえたらいいなって思ってます。
それくらい共感できたら嬉しい。
それは多分バンド活動を通して、色んな明日、照らすを聴いてくれてる人に会った経験があったからだと思いますね。 」
歌詞では、「夢を歌う」というより、「現実感」がすごいですね。
あまりにも自分のこと歌っているようで、だけど、「現実感」も歌にすると、ドラマになるんですよね(笑)「つまらない日常をドラマ化」してくれているんですよね。
村上さんにとって、「歌詞」とはどういうものですか??
「もったいない言葉です。 これは本当に嬉しい。ありがとうございます。
映画だと割とジム・ジャームッシュ監督とかアキ・カリアスマキ監督とか山田洋次監督が好きで、もちろん 『ダウン・バイ・ロー』とか 『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』とか『武士の一分』とか、日常だけとは言い切れない作品はあるけど、この3人の根っこに共通してるのって、 誰もが共通して持っている感情が作る映像だと思うんですよ。
時代背景や国が違っても共感できる。
「この状況になったら、俺もこう思うだろうな。」って感じられる。
結局、感情さえあればドラマって誰にでも日常に必ずあって、それを覚えてるか、覚えてないか、 くらいの差だと思ってますね。
僕は日常に落ちてるドラマを映像ではなく、音楽で表現したい。
ちゃんと考えてなかったけど、 そうなると歌詞ってある意味では脚本なんですかね。
僕の場合、 一曲に対してその出来事を文字だけにするなら、多分4,000文字くらいになると思うけど、 そこから抜粋して、 歌詞にしてるって感じです。 」

今回の世界が直面したコロナ危機で、あの何気ない毎日が幸せだったことに気づかされたというか、価値観のシフトが起きたという人も多いと思います。
何か思うところはありますか?
「コロナに関してはうまく言えないけど、 コロナに対してはコロナ以外の争い事がなくなればいいなって思ってます。
東日本大震災があった時、 友達と話してて、 「この状況で悲しくない人なんかいない。」 って友達に言われて、 本当にそうだと思うんですよ。
コロナも一緒で今辛くない人なんか絶対いない。 立場や環境も関係ない。
みんな、苦しいし、みんな、悲しい。
ニュースやネットで何か行動が起きて批判が生まれた時、腹立たしさや憤りを感じても 「この人も苦しんでる、悲しんでる」 ってことだけは忘れちゃいけないって思ってますね。」
『未成年への主張』がボーナストラックとなっています。
「これは最初アルバムから外そうと思ってたんですよ。
なんかカラーに合わないっていうか、これだけ割と思い出というより偏った考え方や強めの思想って感じなんで、ちょっとアルバムには合わないかなって。
でもバンドのメッセージとしては残したいから、無理やり最後に入れました(笑)
だからボーナストラック。 」
制作中の思い出深いエピソードはありますか?
「制作中の出来事は 『THE BOYS OF SUMMER』と題して、 明日、照らすのブログに残してて、 もし興味があればそちらを覗いてもらえたら嬉しいです。
パッと思い浮かぶ一番思い出深い出来事は、レコーディング中にメンバーに内緒で勝手に 打ち込みのリズムを入れた曲を メンバーからものすごい勢いでNGを出されたことですね(笑)
あの瞬間、 自分の中でアルバムの方向性が固まった気がします。」
7年ぶりのリリースでしたが、次回作については・・・?今は考えられない?
出し切った感は今回のアルバムでも感じていますか??
「ある意味、今回も出し切りました(笑)
今はあんまり考えてなくて、 どっちかというともうひとつつやってる、さよならパリスのアルバムを作りたいですね。
だってあっちはNGなしで好き勝手やれるから(笑)
明日、照らすは明日、照らすをやりたいから、 そこから脱線しないようには最低限の精査はしてるんですよね。
やりたいよりやるべきことを客観的に見れる伴みたいな奴が絶対必要になる。
もし次明日、照らすでやるとしたらアコースティックのEPか、 メンバー増やして本気でJ-POP作るか、 なんかそんな感じですかね。」
多くのメジャーバンドを輩出している名古屋バンドシーン。
そんなシーンの中でも、サブスクが解禁されるとか新作が出るとか、そんな情報を聞きつけると、多くのバンド仲間や後輩たちが湧く。
みんなが、「俺の(私の)明日、照らす」って思ってる特別なバンド。
いつまでも、この感情に名前をつけてくれるかのような歌を届けてほしい。
明日、照らす 村上友哉さん、ありがとうございました!
明日、照らす
Web:
http://asstellus.com/index.html
Twitter:
https://twitter.com/asstellus
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